実際にタクシーを呼んでから、「どこに座るのが正解なんだろう?」と一瞬迷ってしまったり、正しいマナーはよく知らないまま「なんとなく」周りに合わせて乗っていたりする方はいませんか?
実は、タクシーはプライベートに近い空間だからこそ、あなたの細かな配慮や振る舞いがダイレクトに相手へ伝わる場所でもあります。今回は、意外と知らない席次の基本から、スマートな乗降の作法まで、信頼を築くためのタクシーマナーを徹底解説します。
タクシー利用時のビジネスマナーの重要性
ビジネスシーンにおけるタクシーの役割
ビジネスにおいて、タクシーは迅速かつ効率的な移動を可能にする交通手段です。 特に重要な商談や会議へ向かう際、電車やバスなど公共交通機関の遅延リスクを回避し、時間を厳守するためにタクシーを選択するのは非常に賢明な判断と言えます。たとえ数分の遅れであっても、ビジネスにおいては信頼を損なう致命的な要因になりかねません。そのリスクを管理できること自体が、一つのビジネススキルなのです。
また、タクシーはプライベートな空間を提供してくれます。移動中に上司や同僚、取引先のお客様と、リラックスした雰囲気で親睦を深めるのにも適しています。最近では配車アプリの普及により、道端で手を挙げずともスムーズに配車でき、現金を用意せずともネット決済で降車できるなど、利便性も高くなっています。
マナーが信頼を築く理由

タクシー利用時のマナーは、単なる形式的な作法ではなく、ビジネスにおける信頼構築の基盤です。 車内というプライベート感のある空間だからこそ、あなたの細かな所作や言葉遣いから、人間性が相手にダイレクトに伝わります。「初めて会う相手」であっても、運転手さんへの丁寧な態度や、もたつかないスマートな支払いを目の当たりにすると、人は無意識に「この人は周囲への配慮が行き届いているな」「仕事を安心して任せられそうだ」というポジティブな印象を抱くものです。
反対に、どんなに立派なプレゼンをする人でも、タクシーの中で横柄だったり、マナーを知らなかったりすると、その一瞬でこれまでの評価が崩れてしまうこともあります。多くのビジネスパーソンがタクシーを当たり前に利用する今だからこそ、基本のマナーを改めて完璧に押さえておくことが、他者との差別化に繋がるのです。
タクシーの席次マナー
タクシーを利用する際、最も多くの方が頭を悩ませるのが「どこに座るべきか」という席次(せきじ)ではないでしょうか。
ここを間違えると、最初から気まずい空気を作ってしまいます。
上座・下座の基本ルール
タクシーの席次には明確なルールが存在します。 原則として、最上座(最も目上の人が座る場所)は「運転席の真後ろ」です。 これには理由があり、運転席の後ろは万が一の事故の際にもリスクが低いとされる「安全な場所」であり、かつ後部座席の中で最も落ち着いて座れる場所だからです。
一方で、下座(最も目下の人が座る場所)は「助手席」です。 助手席に座る人には、運転手さんへの行き先の指示、ルートの確認、そして到着時の支払いを一手に引き受けるという重要な「司令塔」としての役割があります。もしあなたが部下の立場であれば、助手席に回り込んでこれらの役割を全うするのが基本のスタイルです。
人数別の席次の決め方
乗車する人数によって、優先順位は以下のように変わります。パッと瞬時に判断できるよう、シミュレーションしておきましょう。
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3人の場合:
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運転席の後ろ(上座・一番偉い人)
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助手席の後ろ
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助手席(下座・案内/支払い担当)

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4人の場合: 後部座席に3人並んで座ります。
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運転席の後ろ(上座)
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助手席の後ろ
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中央(後部座席の真ん中・窮屈なため目下の人が座る)
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助手席(下座)

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5人以上の場合は、大きめの車両を手配するか、2台に分乗する選択が必要です。後部座席の中央は足元が狭く座りにくいため、場所の配分には気遣いが必要です。
ただ女性や高齢者と同乗する場合、一般的な席次ルールよりも「乗り降りしやすさ」を優先して考えるほうがよい場合があります。 例えば、着物を着ている女性や足の悪い高齢者には、奥に詰めなくて済む手前側の席をおすすめするなど、配慮が必要です。 「乗りやすい方でどうぞ」と声をかけ、気配りのある対応をすることで、好感度は多く上がります。相手が座りやすそう場所を提供し、情報や状況を読み取ってサポートしましょう。
タクシー乗車時の基本的なマナー
乗車前の準備と心構え
タクシーに乗る前から事前準備をしておくと焦らず行動できます。 目的地や、希望するルートはあらかじめスマホで確認しておきましょう。「〇〇ビルまでお願いします」だけでなく、住所や近くの目印となる交差点まで把握しておくと、運転手さんとのやり取りがスムーズになります。
雨の日であれば、相手が濡れないようにドア付近で傘を差す(運転手さんがやってくれる場合もある)などの配慮もスマートにできると良い印象に繋がります。
降車時のマナーと配慮
降車時の順番と配慮
目的地に到着した際、基本的には上座の人(後部座席の左側など)から降りるのがスムーズですが、交通状況や行き先の建物の位置によっては、安全な方から降りるよう判断が変わります。 下座(助手席)の人は、真っ先に降車し、後部座席のドアを開けるサービス(ドアサービス)を行うのが理想ですが、自動ドアの場合は運転手に任せます。優先順位は「安全」が第一です。真後ろや周囲の車に注意し、順番を守って乗り降りの移動を行いましょう。
忘れ物の確認と感謝の意
降車時は、必ず座席周りを確認する癖をつけましょう。スマートフォンや荷物の忘れ物は、ビジネスにおいて大きなデメリットとなり、その後のスケジュールにも影響します。スマートフォンや傘などの忘れ物はかなり多いため、座席の隙間や足元までしっかり確認しましょう。また、支払い完了後には、「ありがとうございました」と感謝の言葉を伝えることが大切です。また、領収書を受け取ることで万が一忘れ物をした際にも、高確率で見つけることができます。領収書には会社名や無線番号、何時に降車したかまで記載されているため、受け取ることをおすすめします。
タクシー利用時に避けるべきNG行動

無礼な行動とは?
運転手に対して横柄な態度を取ることは、同乗しているビジネスパートナーに対しても失礼にあたります。「近道をしてくれ」「法定速度無視してもいいから急いで」など、無理な要求やルート変更を強引に行うのは避けましょう。 料金や流れについての解説が必要な場合は、丁寧に伝え、運転手のプロとしての意見に応じることが大切です。あなたの振る舞いは、そのまま会社の品格として見られます。基本的な会話のマナーを徹底しましょう。
うっかりやりがち!「情報漏洩」のリスク
車内では、ビジネスの話をすることもあれば、少し肩の力を抜いた雑談の時間になることもあるでしょう。しかし、ここで最も注意すべきは「情報漏洩」のリスクです。
タクシーという空間は、ついつい身内だけの個室だと錯覚しがちですが、運転手さんという「第三者」がいることを忘れてはいけません。具体的なクライアント名、具体的な取引金額、あるいは社内の人間関係や人事に関わる噂話……。こうした機密情報は、後部座席であっても車内では絶対に控えるべきです。
「沈黙」も大切なおもてなし
「沈黙」を過度に恐れないことも大切なおもてなしです。 何か話さなければと焦って、一方的に「マシンガントーク」を展開してしまうのはNG。相手が窓の外を眺めていたり、考え事をしていたりする場合は、あえて静かな空間を保つのも気遣いの一つです。このとき、会話がないからといって自分だけスマホをいじり続けるのも避けましょう。「あなたとの時間に興味がない」という無言のメッセージに受け取られてしまう可能性があるため、車窓を眺めるか、相手の様子を伺いつつ、いつでも会話に応じられる姿勢でいるのがベストです。
沈黙がどうしても気まずい時の「3つの処方箋」

「沈黙は大切」と言われても、実際問題として、取引先と二人きりの車内で15分も無言が続くと、気まずい気持ちになることもあると思います。
そんな時、気まずさを解消しつつ、相手の負担にもならないスマートな対処法をご紹介します。
1. 「一度だけ」ボールを投げてみる
まずは、相手が「話したいモード」なのか「ゆっくりしたいモード」なのかを確認するために、軽い話題で一度だけボールを投げてみましょう。
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おすすめのトピック:
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景色の変化: 「このあたりは最近、新しいビルが増えましたね」
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周辺の環境: 「近くに美味しいお店があるとお聞きしたのですが、〇〇さんは行かれたことありますか?」
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移動のねぎらい: 「今日は移動が多くてお疲れではないですか?」
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ここで相手が「そうなんだよ、実はね……」と話し始めれば、そのまま聞き役に徹すればOK。
逆に「そうですね」と一言で終わるなど、特に会話が続かない場合は「今は静かに過ごしたい」というサインです。一度確認ができれば、「よし、今は沈黙が正解なんだ」と自信を持って黙ることができます。
2. 「スマホ」の代わりに「資料」を広げる
沈黙に耐えられず、ついスマホを触りたくなりますが、それは「あなたに関心がありません」というサインに見えてしまうリスクがあります。
そこでおすすめなのが、「次の会議の資料」や「手帳」を軽く眺めることです。 「次の打ち合わせの準備を少し失礼します」と一言添えて資料に目を落とせば、相手に対して「私は仕事に集中しています(=あなたを無視しているわけではありません)」という正当な理由が伝わります。相手も「自分も資料を読もうかな」と自分の時間に没頭しやすくなり、お互いにとって居心地の良い空間に変わります。
3. 「運転手さん」を会話のクッションにする
どうしても直接話すのが気まずい時は、運転手さんを介した会話を挟むのも一つのテクニックです。
「今日は道が空いていて助かりますね」「このルートはいつも混むんですか?」など、運転手さんに軽く問いかけてみましょう。取引先の方もその会話を横で聞くことで、車内の張り詰めた空気がふっと緩みます。そこから「そういえば先日もこのルートを通った時に……」と、自然に会話が広がることも珍しくありません。
タクシー利用のまとめと今後の展望

ビジネスマナーの重要性を再確認
いかがでしたでしょうか。タクシーでの振る舞いは、単なる移動の作法ではなく、ビジネスを円滑に進めるための重要なスキルです。 正しい席次、運転手さんへの敬意、同乗者へのさりげない配慮。これらを自然に実践できるようになれば、あなたは周囲から「信頼できるパートナー」として一目置かれるようになるはずです。 些細な動作一つひとつが、あなたの評価を作り上げます。ぜひ次回の移動から、意識してみてくださいね。
2026/1/23投稿